カケラを残す

思ったことを気ままにつらつらと。

魂は全てを凌駕する

「わたしのライオンハート。」


1番尊敬している女性作家。
あさのあつこさんや三浦しをんさん、有川浩さんも読者を引き込むのが上手くて個人的にもとても好きですが、1番訴えかけてくるのはやはり恩田陸さん。


「いつもあなたを見つける度に、ああ、あなたに会えて良かったと思うの」
もし「ロマンティックとは何か」と問われたとしても、その答えを言葉で説明なんて出来なくないですか? そんな時はこの小説を読んでほしいものです。そうすればすべて理解できると思います。ロマンティックとはこうあるべきだと。


とにかく恩田さんの紡ぐ文章が美しい。日本語の美しさを味わうという意味でこれを上回る作品に未だかつて出会ったことがありません。ひとつひとつのフレーズが綺麗。「 原色の世界が一瞬にして白黒のデッサンに変わる。 」「 その一瞬の光が、中空にたたずみ、大きな斧を手にした大男を時折デッサンのように白く黒く照らし出す。 」こういった表現は西洋画へのオマージュであることを示唆していて流石だなと思いました。登場人物の外見についての細かい描写や色彩に関する描写が多いという点は、やはり西洋風を意識してのことなんだろうな。


そういった、小説だからこそ味わえる日本語の美しさも捨て難いですが、西洋劇なんかにしても絶対に面白いと思います。確実に大ヒットする。…そもそも大ヒットするなんていう低俗な言葉で表現するのも憚られるほど高尚な物語だけれど。




あとがきで「英語も歴史も苦手」と語ってらっしゃったけれど、それでこれだけの作品が書けるなんて相当調べて相当勉強したんだろうなと思います。というよりも、正直な話、苦手なんて嘘でしょなんて思ってしまいます。


オマージュが1番難しいと私は思っていますが、恩田さん、オマージュ多くないですか?
それもすごく緻密に練られたオマージュ。
そして毎回オマージュだということに気が付かない私に、己の知識の浅薄さを彼女は容赦なく突きつけてきます。彼女の作品を作者ご自身のレベルで完璧に理解しようと思ったら、完全に人生が足りないと思う今日このごろ。これもたった300ページ強だったのに、読むのにおそらく2週間くらいかかったかと。やはり人生が足りない。





備忘録

「覚えていて、エドワード」
「いつもあなたを見つける度に、ああ、あなたに会えて良かったと思うの」
「いつもいつも」
「会った瞬間に、世界が金色に弾けるような喜びを覚えるのよ」

「魂は」
「全てを凌駕する」
「時は内側にある」