読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

カケラを残す

思ったことを気ままにつらつらと。

お寿司屋さん

 

私のアルバイト先での話。

 

とあるビュッフェスタイルのお店でアルバイトをしているんですが、

その日のホールは、私と強面の社員さんの2人しかいませんでした。

 

お客さんもさほど多くはなく落ち着いていたので、

強面の社員さんが新しくお席を作る作業を始めました。

が、まだそのテーブルを拭いていないことに気づいた私は

この社員さんが気持ちよく作業できるように早く拭き上げてしまわなきゃ!

という謎の使命感を抱いたまま急いで台拭きを持って拭き上げていっていると

「先に○○して」と言われました。

 

ビュッフェスタイルのお店にはあるあるな話だと思いますが、

うちのお店にも、例に漏れず「お済みのお皿をお下げいたします」作業があって。

強面の社員さんの言う○○とは、この作業のことでした。

 

そこでお客様の座っておられるお席を巡回して戻ってくると

強面の社員さんが一言。

 

「お寿司屋さんみたいだったね」

 

これはもちろん、テーブルに重ねられたお皿が

回転ずしのお店のすし皿の重ねられ方に似ている、という意味ですが。

 

寿司屋でもなく、

お寿司屋でも寿司屋さんでもなく、

”お寿司屋さん”と言う強面の社員さん、可愛すぎませんか。

 

それ以降、テーブルに重ねられるお皿を見るたびに

「やばい、また”お寿司屋さん”って言われる、やばいやばい」

と思うようになりました。

 

手帳

 

手帳って、書いて忘れるためにあると思う。

 

2017年になったので新しい手帳を買いました。

今まで使っていたマンスリータイプではなく、

書くスペースがたくさんあるウィークリータイプ。

 

私は2ヵ月先まで予定を立てるタイプなんですけど、

2ヵ月もの予定を立てちゃうと、そんなの覚えていられないじゃないですか。

でも、その予定を立てたのには何かしらの理由があって、

自分なりにいろいろ考えた結果の、その予定だと思うんです。

だけど、何をどう考えたのかいちいち覚えておくことなんかできやしなくて。

だからこそ、その「何をどう考えたのか」という答えのヒントになるような

”小さなメモ”としての予定を手帳に書いておく。

そして、そんな細かい理由や考えは頭から排除してしまっても

そのメモを見ればそれらが概ね思い出せる、というメカニズム。

 

忘れるために、書く。

 

2016年のまとめ

2016年の読書メーター
読んだ本の数:73冊
読んだページ数:23102ページ
ナイス数:1265ナイス

新 歴史の真実 (講談社+α文庫)新 歴史の真実 (講談社+α文庫)感想
この本を読んで、日本の見方が変わりました。私はこの本を最後まで読んで、日本が本当に誇るべき文化は、和食とか和服とか目に見えるものじゃなくて、日本人の精神とか日本人らしさとか、そういう目に見えないものなんじゃないかなと思った。特に若い人たちにぜひ読んでもらいたい1冊。これを読むだけで愛国心がすごく強くなると思うし、そうなってほしい。他国文化を認めつつ、日本の文化に誇りを持ってほしい。
読了日:4月10日 著者:前野徹
虚像の道化師 (文春文庫)虚像の道化師 (文春文庫)
読了日:4月20日 著者:東野圭吾
禁断の魔術 (文春文庫)禁断の魔術 (文春文庫)
読了日:4月30日 著者:東野圭吾
薬指の標本 (新潮文庫)薬指の標本 (新潮文庫)感想
小川洋子の物語は、非現実的、非日常的なものが多くて、そのくせ突出した演出がない。物語のヤマ場がない。ただただ、静かに、非日常を生きる人々が描かれている。そしてこの、『薬指の標本』も例外じゃない。静かなんだけど非現実的だから、良い意味でのある種の気持ち悪さみたいなものを伴ってると思う。でも、なぜか他の作品にも触れてみたいと思わせる魅力がある。不思議。
読了日:5月10日 著者:小川洋子
先生はえらい (ちくまプリマー新書)先生はえらい (ちくまプリマー新書)感想
作品をすべて読み終えて思うのは、内田さんが何を言いたいのかよく分からない作品だなということ。もちろん、良い意味で。先生とはそういう存在だってことかな。読んでみたらなんとなく私の言いたいことが分かるんじゃなかろうかと思います。ここまで意味の分からない読み物も久しぶりに読んだな。でも、言ってることは意味わからなくても理屈は通ってると思うし、説得力ある根拠もちゃんとある。だから納得せざるを得ない。意味の分からない事を述べているのに読者を納得させてしまう内田さんの凄さを改めて感じました。
読了日:5月10日 著者:内田樹
教えるということ教えるということ
読了日:5月20日 著者:大村はま
海の見える街 (講談社文庫)海の見える街 (講談社文庫)感想
個人的に、日野さんの弟の文也くんがとても好き。どちらかと言えばサブキャラ的位置だけど。チャラチャラしてそうで意外とちゃんと将来のことを考えてるとことか、お姉ちゃんのことを大切に思ってるとことかがツボ。物語全体としては、それぞれ心の中にいろいろな問題を抱えている登場人物たちが、確実に変わっていく姿が描かれているっていう点では、恋愛だけの小説じゃないと思う。一種の、成長ドラマというか。もし続編があるならぜひ読みたい。文也くんサイド・拓海くんサイドのスピンオフも良いな。
読了日:5月30日 著者:畑野智美
パラドックス13 (講談社文庫)パラドックス13 (講談社文庫)感想
P-13現象 ―― 3月13日13時13分13秒、街から生き物が消える。そこに残された13人の見知らぬ男女が、協力しながら崩壊していく街で必死に生き延びる。実際にこんな現象が起こったら自分ならどうやってその現実を受け入れるだろう?誠哉みたいに冷静に考えられる気がしない。あんな状況でも最も効率的に考えられる誠哉の強さに完敗。途中途中で描かれる久我兄弟は仲が悪くて喧嘩腰だったけど最終的には冬樹が誠哉のことを尊敬してたりちゃんと思い合っていたりして人間味を感じた。内容的には何となく予想ついてたけど楽しめました。
読了日:6月20日 著者:東野圭吾
図書館戦争図書館戦争感想
読者をグッと引き込むようなキャラクター設定と、そのキャラクターならではの言動。有川浩は、キャラクターを操るのが抜群に上手い。とは言っても彼女はあとがきなどで「自分ですらキャラクターたちの行動に驚かされる、自分はキャラクターたちの世界を写す透明なカメラマンだ」と表現しているから、操るとは心外だと思われるかもしれないが。……と、ここまで堅苦しいような感想を述べてきたけれど、とにかく続きが気になって夜も眠れない程、読者を惹き付ける魅力がこの本にはある。思わずシリーズ全作一遍に揃えてしまいました。
読了日:6月24日 著者:有川浩
図書館内乱 図書館戦争シリーズ (2) (角川文庫)図書館内乱 図書館戦争シリーズ (2) (角川文庫)感想
シリーズ1作目に比べて、堂上教官が優しすぎるし、いろいろとずるい。手塚もずいぶん丸くなって、柴崎もようやく心の中を見せてくれて、読者とキャラクターたちとの距離がかなり近づいたという印象。郁のお父さんは言動の節々に娘への愛情や思いやりが感じられて、個人的に好きなお父さんだった。柴崎目線で描かれてて、まっすぐすぎるくらいまっすぐな郁がものすごく眩しかった。あと、柴崎くらい頭のキレる人間から見た時の郁の可愛らしさ。天然というかただのアホというか。でも傍から見てる人間からしたら、またそれが可愛いという。
読了日:6月26日 著者:有川浩
図書館危機 図書館戦争シリーズ (3) (角川文庫)図書館危機 図書館戦争シリーズ (3) (角川文庫)感想
遂に郁が王子様の正体に気づいたんだけど、そこからの葛藤がまた可愛らしい。真っ直ぐな郁ゆえの悩みが、さらに彼女の真っ直ぐさを助長するというか。嫉妬心を認めた郁が素直に柴崎に自分の気持ちを打ち明けるシーンも、第3者である読者からしたら可愛らしくて仕方がない。柴崎は郁の気持ちにはとっくに気付いていたのに。それにも気付かずに真っ直ぐに宣言した郁が眩しかったし、そこまで相手(ここでの相手は柴崎だけではない)に対して真っ直ぐに向かえる郁が羨ましかった。
読了日:6月28日 著者:有川浩
図書館革命 図書館戦争シリーズ (4) (角川文庫)図書館革命 図書館戦争シリーズ (4) (角川文庫)感想
当麻と郁を大阪に向かわせる時の堂上がかっこよすぎてキュンを通り越してギュンの域に達していました。「お前ならやれる」って言葉がどれだけ郁を支えたことか。恋愛抜きにしても、尊敬する上司からこれほどの信頼を得られるだけでも、この局面では涙が止まらないだろうな。郁の場合は恋愛まで絡んでるんだから、もう感情の蓋が開いてしまったのも無理はないと思う。堂上に付き添っていたい気持ちを振り払って、自分がいますべきことをやろうとする郁はすごく立派だった。去っていくその姿を、堂上も祈るような気持ちで見送ったんじゃないかな。
読了日:6月30日 著者:有川浩
別冊図書館戦争 1―図書館戦争シリーズ(5) (角川文庫 あ)別冊図書館戦争 1―図書館戦争シリーズ(5) (角川文庫 あ)感想
堂上と郁が付き合い始めてから、つまり大阪から帰還した郁が初めて堂上の病院を訪れてから婚約に至るまでの2人が、図書館のちょっとしたトラブルとともに描かれた図書館シリーズ別冊。2人の不器用具合がハラハラさせるけれど、不器用ながらもそこに愛情を感じてしまって目が離せなかった。とてもピュアな2人だなと。お互いに結構本音を隠し合ってるのに、どうしてあんなに大事にしてることがダダ漏れなんだろうね。なんていうか、心がむず痒いというか。心がすごくザワついた。良い意味で。…とにかくきゅんとします!
読了日:7月2日 著者:有川浩
別冊図書館戦争II (図書館戦争シリーズ 6) (角川文庫)別冊図書館戦争II (図書館戦争シリーズ 6) (角川文庫)感想
図書館シリーズ別冊2。いつの間にか堂上郁になってました。個人的には2人の結婚式、読んでみたかったなあ。別冊1の最後に婚約までは行ったけど、そこからぴょんと飛んでしまったのが少しだけ悲しかった。でも、堂上教官となった郁を見られて、それはそれで楽しかった。内容的に、背中合わせの2人⑵くらいから読むのが辛かった。泣きそうだった。ようやく手塚と柴崎もゴールインしてみんなハッピーだったけど、やっぱり私は手塚×柴崎より堂上×郁のほうを贔屓してしまうみたい。もっと2人のラブコメが見たかったな〜。
読了日:7月4日 著者:有川浩
レインツリーの国 (新潮文庫)レインツリーの国 (新潮文庫)感想
図書館内乱』に出てきたので、どんな話だったかなと本棚の奥から引っ張り出してきて再読。これは5年前に初めて読んだ有川作品。当時は失礼なことに「なんだ、有川浩ってこんなもんか」と思いました。あれから私も歳を重ねて少しは大人になったようで、この作品への認識はかなり変わりました。ひとみは図書戦の鞠絵ほど強くはなくてかなり卑屈なところもあるけれど、そこがリアル。図書戦では鞠絵はこの作品のヒロインに自分を重ねてたから、やっぱり心の中ではひとみと同じようなことを思ってたのかな。図書戦を読んでから読むとより深まります。
読了日:7月14日 著者:有川浩
愛の小さな歴史愛の小さな歴史感想
ひとつの映画作品の裏側を、主演女優が撮ったとされる写真から辿っていく。小説ではないのに、ひとつの小説を読んでいるような気持ちになれた。けれど、ちょっと難しいのでサラッと読んだだけでは理解が追いつきませんでした。もっとゆっくり読みを深めたいな。
読了日:7月15日 著者:港千尋
試着室で思い出したら本気の恋だと思う (幻冬舎文庫)試着室で思い出したら本気の恋だと思う (幻冬舎文庫)感想
完全に、表紙とタイトルに惹かれて手に取った。「感情は、年を取らないのかもしれない。対処の仕方が大人になっていくだけで。」「すっかり大人になった気でいたけれど、わたしは臆病な大人になってしまったのかもしれない。」大切なことに気付かせてもらえました。物語のすべてがハッピーエンドなわけではないけれど、そこがまたリアルで良い。Closet の店員さんの話はいつ出てくるんだろうと思いながら読んでいたら、最後にちゃんと出てきてくれて満足。思わず洋服を買いに行きたくなりました。次に試着する時に思い出すのは誰なんだろう。
読了日:7月16日 著者:尾形真理子
夢幻花 (PHP文芸文庫)夢幻花 (PHP文芸文庫)感想
久しぶりに東野作品を読みました。本屋さんなんかでも、傑作なんて書かれてたけれど、うん、確かにこれは傑作。最初っからひとつ残らず全部、ひとつの事件に繋がってた。刑事でもない梨乃と蒼太が真相に近づいていく過程も含め、読んでて面白かった。1人で行動してる時なんかは、犯人に命を狙われるんじゃないかとハラハラした。一筋縄ではいかない事件の真相に、東野圭吾さんらしさを感じた。この人はほんとうにひとつの真実を隠すための偽装が上手だな。つい偽装の仮面を剥がそうとしてしまって本質が見えなくなってしまう。舌を巻きました。
読了日:7月19日 著者:東野圭吾
博多豚骨ラーメンズ (メディアワークス文庫)博多豚骨ラーメンズ (メディアワークス文庫)感想
本屋さんでこのタイトルを見て、ずっと読みたいと思っていた数冊の本そっちのけでこの本をレジに持って行ってた。その理由は単純で、博多豚骨ラーメンが好きだから。20年近くを福岡で過ごしてきたために地元に愛着があるから。ワクワクしながら読んでみる。――は?博多の人口の3%が殺し屋!?その設定に衝撃を受けました。内容には関係ないけれど、ホークスの左のサイドスローのピッチャーって森福のことかな。知っている場所が多く出てきて楽しかったけど、続きを買おうとまでは思わないかな。最後に。福岡は、“よかとこ”ですから!(笑)
読了日:7月20日 著者:木崎ちあき
チルドレン (講談社文庫)チルドレン (講談社文庫)感想
ずっと気になっていた伊坂幸太郎さん。彼の作品を読んだのは、これが初めて。もっと重い話を書く方だと思っていただけに、軽やかで面白くてクスクス笑ってしまいました。陣内さん、実際に友達だったら面倒くさいんだろうけど、この人の突拍子もない発言に救われる場面もありそうで、こんな友達が一人くらいいると楽しいかもな。それとも、やっぱり傍観者くらいの関係のほうが楽しいのかな。なんとなく永瀬くんと武藤さんのキャラが被ってる気がして、陣内さんはこういうタイプの人を集めちゃうのかなと。思えば(鴨居+武藤)÷2=永瀬かも?
読了日:7月21日 著者:伊坂幸太郎
あの頃ぼくらはアホでした (集英社文庫)あの頃ぼくらはアホでした (集英社文庫)感想
3年前、いつもの如くミステリーだと思いながら読んでみて思いっ切り裏切られ、読み終えられずに途中で挫折したこの本。時間を置いて開いてみると、案外読めてしまう不思議。でも、やっぱり東野圭吾さんはミステリーが好きだな。こんなアホなことをやっている東野さんが全く想像できない。これを読むと、「男の子ってこんなアホなことばかり考えてるのか」とある意味では幻滅したりもする。それとも時代が違えば思うこと・考えることも変わってくるのだろうか。給食のエピソードにはゾッとした。今では衛生面には過剰過ぎるほど気をつけているのに…
読了日:7月26日 著者:東野圭吾
すべて真夜中の恋人たちすべて真夜中の恋人たち感想
巻かれていた帯に「芥川賞作家 渾身の恋愛小説」とあったので少し期待しすぎていた部分があったのは否めないけれど、この作品の良さを理解するには私はまだ若すぎたのかも。登場人物みんなが同じようなスピード感で同じような言葉を選んでいるのが違和感があるというかリアリティがないというか。全体的にひらがなが多く読みづらい。そこに込める何かを掴めるくらいの力量が私に足りてないだけなのか。高校の模試や大学入試の問題になりそうな、単に娯楽としてではなく考えさせる恋愛小説でした。そういう意味で作者は秀才さを見せたかったのかな。
読了日:7月27日 著者:川上未映子
雲は湧き、光あふれて (集英社オレンジ文庫)雲は湧き、光あふれて (集英社オレンジ文庫)感想
1日で読み終えてしまった。高校球児のお話が3つ。最初の2つは年代も地区も同じもの、最後の1つは戦時中の高校(当時は中等学校)野球のお話。最後のお話はまさに「足るを知る」でした。ピンチランナーの語り手・須藤と益岡の本音のぶつけ合い、青春っぽくて好きだなあと。甲子園への道の月谷と木暮の、泉を通しての告白もなんだか可愛らしくて思わずにまにましてしまった。自分の塾の生徒を思い出して、そうそう、こういう可愛さがあるんだよ高校生は、なんて思ったり。続編なのかな?エースナンバーも購入して読もうと思います。
読了日:7月27日 著者:須賀しのぶ
一〇〇〇ヘクトパスカル (講談社文庫)一〇〇〇ヘクトパスカル (講談社文庫)感想
表紙に惹かれて購入。初めて読んだ作家さんでした。何気なく著者情報を見ると同じ福岡県出身!物語は東京が舞台だし登場人物たちの故郷として出てきていたのが北海道や東北・中部地方ばかりだったので意外に思った。大学3年生の今、これを読めて良かったと思う。このまま周りの流れに合わせて就活するというのも選択肢のひとつ。それ以外の人生だってまだまだ選ぶことはできる。私もこの先の人生についてもう少しじっくり考えようと思った。良いきっかけをもらいました。
読了日:8月1日 著者:安藤祐介
いなくなれ、群青 (新潮文庫nex)いなくなれ、群青 (新潮文庫nex)感想
たったひとつだけ、護りたいものがあった。そのほかのすべてを捨ててでもひとつだけ、絶対に諦められないものがあった。―― 綺麗。その一言に尽きる。ずっと気になっていたシリーズだったので読むことが出来た、ただそれだけでも満たされたのに、中身まで綺麗で美しくて。甘々とかそういう軽い言葉で表現することが許されないような神聖な雰囲気のある作品でした。七草くん、良いね。言葉の重みをわかっているところとか、由宇の美しさを護ろうとする感性とか。そもそも私は河野裕さんの紡ぐ文章自体が好きなのかもしれない。続編も買います。
読了日:8月4日 著者:河野裕
その白さえ嘘だとしても (新潮文庫nex)その白さえ嘘だとしても (新潮文庫nex)感想
階段島におけるクリスマスの七不思議の真相にもサンタクロースの正体にも七草くんがたどり着いた魔女の正体にも、驚かされてばかりでした。「白はなんにも混ざらない色だ。あらゆる混色が決して届かない色だ。」クリスマスイブの夜、必ず雪が降る。島のクリスマスイブのすべてを、優しく包み込むように。「その白さえ嘘だとしても、僕はこの景色を綺麗だと言う。」やっぱり七草くんの知的で人への気遣いが出来るところ、すごく好きだな。由宇の少しの汚れもない真っ白さと対人関係における不器用さも、ある種の美しさがあって良い。ん〜もどかしい。
読了日:8月7日 著者:河野裕
汚れた赤を恋と呼ぶんだ (新潮文庫nex)汚れた赤を恋と呼ぶんだ (新潮文庫nex)感想
「どんな形であれ、明日にはこの子が笑っていて欲しい。」「泣き顔を笑顔にできなくても、コートで涙を拭けるなら、それを僕は幸せと呼ぶんだ。」切ない。それは、わかりやすく言うなら、お互いを想うが故にお互いに傷つけ合ってしまうという切なさ。だけど、この物語はそんな単純な言葉では説明出来ないような、もっと回りくどくてもっと複雑でもっと深い物語だと思う。形式としては階段島シリーズ1と2のスピンオフのような、現実世界の話。そしてもちろん階段島の七草くんとも接触する。階段島側とはまた違った気持ちで読んだ。続きが気になる!
読了日:8月8日 著者:河野裕
美しき凶器 (光文社文庫)美しき凶器 (光文社文庫)感想
通学のバスから降り損ねそうになるくらいのめり込んだ。最終的に美しき凶器はやはりこのような結末になるだろうなとは思っていたけれど。牢屋に入るくらいなら死んだ方がマシだと言った人間は生き延び、ここで殺されるよりは自首して罪を償おうと言った人間は殺されてしまう結末には東野さんらしさを感じた。きっと、死んでしまった人間よりも地位も名誉も失って罪を償うためだけに生き延びなければならない人間のほうが苦しむことになるのだろう。然るべき人間に然るべき結末が用意されていて、そういう意味でも東野さんらしいラストだったと思う。
読了日:8月9日 著者:東野圭吾
退出ゲーム (角川文庫)退出ゲーム (角川文庫)感想
ハルチカシリーズ1作目。気になっていたシリーズなので、ワクワクしながら読みました。学校内外で起こる様々な怪事件を、幼なじみで吹奏楽部のハルタとチカが解決して行く。おそらく、吹奏楽部員を集めていくのが彼らにとっては一番の問題なんだろうけど、事件に携われば自ずとそちらの方にも有利になっていく、つまり問題解決と同時に新入部員が得られるという仕組みのちょっとしたミステリー。軽快で読みやすい。けれど奇妙な三角関係の行く末がなんとなく予想できるし、そうなって欲しくないので続刊購入は悩むなあ。検討リストに入れます。
読了日:8月14日 著者:初野晴
砂漠 (新潮文庫)砂漠 (新潮文庫)感想
伊坂作品2作目。前回『チルドレン』を読んだ時に知人に勧められて。今回の西嶋と言い、前回の陣内と言い、良いキャラしてる。西嶋の「首尾一貫しているじゃないですか、大事なものはいつだって変わらないんだから。」という台詞がたまらなく胸に響いた。西嶋という人物自体が好きなのかと考えるとそうでもないし、では語り手である北村が好きなのかと考えてもそうでもない。おそらく私は伊坂幸太郎の作風が好きなんだ。例えば作中に何度か出てくる「なんてことは、まるでない。」というフレーズ。回りくどくて面倒くさいけれど、なぜか好きなんだ。
読了日:8月19日 著者:伊坂幸太郎
エースナンバー 雲は湧き、光あふれて (集英社オレンジ文庫)エースナンバー 雲は湧き、光あふれて (集英社オレンジ文庫)感想
『雲は湧き、光あふれて』の2話目に登場する三ツ木高校メインのお話。新人記者の泉さん目線だったり、1話目に登場する益岡とピンチランナー須藤のペアもちょこっと出てきたりで、1作目を読んだ私としてはかなり楽しめた。やっぱり野球ものは良いね。青春を感じる。スポーツとしては好みの問題だろうけど、小説としてはサッカーよりも野球のほうがやはり面白いと思う。それは野球が、球を投げる瞬間とか打つ瞬間とか、そういう瞬間的には1対1のスポーツだからなのかなと思ったり。もっと野球もの読みたいな。このままシリーズ化を期待してます!
読了日:8月22日 著者:須賀しのぶ
猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち (講談社文庫)猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち (講談社文庫)感想
知人のオススメ本、という事で読みました。はっきり言って、手が止まらなくなるほど読書意欲を掻き立てられる、続きが気になって読みたくて堪らない、などということはない。けれど、猫弁・百瀬に寄せられる相談事、百瀬の入会する結婚相談所などのお話自体はとても面白い。百瀬の依頼人たちが最後に繋がったり、関係者全員がそれぞれwin-winで事件解決に至ったり、最後はほっこりします。知人は「こんな幸せな世界だったらいいなと思いたい時に読む」と言っていたのですが、私も心を落ち着けたい・洗いたいときに読み返したいと思います。
読了日:8月31日 著者:大山淳子
さよならドビュッシー (宝島社文庫)さよならドビュッシー (宝島社文庫)感想
知人のオススメ本。1日で一気に読んでしまいました。個人的に中山七里さんの言葉の選び方や言い回しが好き。作中に四字熟語が多用されていて、それも勉強になるから好印象。内容的にはミステリーだから続きが気になって次々とページをめくっちゃう。ショパンドビュッシーの曲についてかなり細かく記してあるのでクラシックに詳しかったらもっと理解・共感できて面白いんだろうけど、曲を知らなくても十分楽しめた。これをきっかけにドビュッシーの曲を聴いてみたいと思える作品でした。シリーズ2作目、3作目も購入して読みたいと思います!
読了日:9月12日 著者:中山七里
さよならさえ、嘘だというのなら (スターツ出版文庫)さよならさえ、嘘だというのなら (スターツ出版文庫)感想
タイトルに惹かれて購入。あらすじとしては、都会から双子の男女兄妹がやって来て、穏やかだった田舎町がだんだん壊れていき、その中で主人公は双子の妹に惹かれていく、というもの。ストーリーや設定自体は面白いのに、中身が淡々としすぎた印象。特に高校卒業後が一瞬で過ぎ去っていった様に思える。彼女を見つけるまでの過程をもっとゆっくりじっくり描いて欲しかったなあ。七瀬の気持ちがかなり軽々しく扱われていたのも残念だった。先が読めてしまうのは否めないけれど、ミステリー風なので推理しながら楽しめる作品だと思います。
読了日:9月18日 著者:小田真紗美
小説 秒速5センチメートル (角川文庫)小説 秒速5センチメートル (角川文庫)感想
この作品を初めて知ったのは、中学生か高校生の頃、某音楽サイトでこのアニメーションを見た時だった。それから漫画を見つけ出して読んだ。その時に感じた人生のままならなさ。それをもう一度活字で確かめたくて文庫本を手に取った。実らない初恋の切なさ。貴樹の想い、明里の想い、花苗の想い、水野の想い。それぞれがそれぞれに切なくて、胸が苦しくなるけれど、なぜか目が離せない。特に花苗の心理描写が良かった。偶然を装って朝練中の貴樹の前に現れたり、単車置き場で待ち伏せてみたり。時々出てくる「光と影に塗り分ける」という表現が好き。
読了日:9月19日 著者:新海誠
残り全部バケーション (集英社文庫)残り全部バケーション (集英社文庫)感想
伊坂幸太郎さんはこれで3作目。短編集なんだけどすべての話がちょこちょこ繋がっていて面白い。具体的に名前が出てくるわけでなくても、なんとなくコレはあの人だなと分かる。溝口さんと岡田さんのペア、なんか好きだな。最後の話は結末がないまま終わるけれど、モヤモヤもなくむしろスッキリする不思議。あんなに頭を使った溝口さんにも彼の岡田さんに対する想いの強さにも感動した。こうやってひとつ読み終わるごとに、次は彼のどの作品を読もうか、と考えてわくわくさせる不思議な力が伊坂さんにはあると思う。やっぱり伊坂さん好きだなあ。
読了日:9月23日 著者:伊坂幸太郎
おやすみラフマニノフ (『このミス』大賞シリーズ)おやすみラフマニノフ (『このミス』大賞シリーズ)感想
『さよならドビュッシー』シリーズの2作目。正直、序盤からなんとなく犯人はあの人なんじゃないかと思っていたが、それにしてもなぜ犯行に及んだのか動機がはっきりしていなかった。途中で犯人が判明した時にはかなり驚いたけれど最終的にはやはり目論んだ通りの真犯人だった。しかし犯人の考えやそれを取り巻く人たちの想いには全く気づけていなかったので呆気に取られました。前作同様、素晴らしい表現力に語彙力。勉強になる。ラフマニノフなんて名前すら初めてお目にかかったくらいなのに。このシリーズを読むとクラシックを聴き漁りたくなる。
読了日:9月26日 著者:中山七里
晩夏のプレイボール (角川文庫)晩夏のプレイボール (角川文庫)感想
甲子園にまつわる10の短編集。あさのあつこさんの作品を読むのは『バッテリー』シリーズ、中学生ぶり。もともと短編より長編が好きなのだが、この短編集はどの作品も退屈させない良いお話ばかりだった。あさのさんは少年の言動や心情の描き方が絶妙。「空が見える」は泣きました。空きコマだったから学校の図書館で読んだけれど、涙が止まらなかった。甲子園は、球児だけのものじゃない。本人たちは勿論、それを取り巻く人の夢でもある。そう改めて感じた。『バッテリー』完結から5年、彼女の新たな野球小説『グラウンドの空』も読んでみたい。
読了日:9月27日 著者:あさのあつこ
祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)感想
久しぶりの加賀恭一郎シリーズ。幼少期に加賀と父親を置いて家を出て行った母親に関するお話。今回は加賀メインというよりは、その従弟・松宮メインという印象。別人だと思っていた人が実は同一人物だったりいろんな人が出てきたりで少々混乱しますが、最後にはすべての謎が明らかになり収束していき、スッキリとした気分で読み終えられました。鬱気味で出て行った加賀のお母さんがどんな風に生きたのかが最後の最後に記されていますが、その部分を読んで感動で涙しました。次作では再び警視庁に戻った加賀の活躍が見られるのかな?楽しみです!
読了日:10月2日 著者:東野圭吾
小説 君の名は。 (角川文庫)小説 君の名は。 (角川文庫)感想
ようやく映画館で観ることができたので復習を兼ねて。『秒速5センチメートル』にも出てきた「光と影に塗り分ける」というフレーズがこの作品にも出てきたんだけど、やっぱり好きだなあ。映画を観た時には、なぜ?と疑問に思っていたところが小説を読んで解決したり、より詳細な情報が加えられていたりで、映画を観る前でも観た後でも十分に読む価値があると思います。犠牲者名簿に彼女の名を見つける場面と、2人が出逢うカタワレ時の描写では涙が堪えられない。結局のところ、2人は3歳差なのかなという変なところが依然として気になっています。
読了日:10月3日 著者:新海誠
いつまでもショパン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)いつまでもショパン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
『さよならドビュッシー』シリーズ3作目。舞台はショパンの故郷・ポーランドの伝統的コンクールであるショパン・コンクール。言わずもがなこの作品にも岬洋介は登場するけれど、今回もやはり彼は主役ではない。これまでの2作を読んだ私としてはそろそろ岬洋介中心の物語が読みたいと思っていたところを、良い意味で裏切ってくる。「不可能というのは臆病者の言い訳です」「才能というのは怠け者の言い訳です」岬洋介の言葉が胸に刺さった。ショパンノクターン第2番変ホ長調は知っていたので終盤はずっと頭の中で流れていました。次作も楽しみ。
読了日:10月6日 著者:中山七里
PK (講談社文庫)PK (講談社文庫)感想
伊坂幸太郎さん4冊目。相変わらず、中編集なのか長編なのか結論の出しにくい構成でした。表題作「PK」の最後は、なぜか鳥肌が立った。…えっ!秘書官!?えっ!?と、心の中がザワつく終わり方でした。「密使」を読んだ後は、「超人」の予知メールの1万という数字が何によってもたらされるのかがようやく分かった。そして本田青年がなぜ安堵したのか。ゴキブリを回収したあのヒーローは、彼の計り知れない部分で世界を救っているんだなと改めて感じた。個人的に「PK」のお父さん(つまり作家)が子どもたちに次郎君の話をする場面が好き。
読了日:10月11日 著者:伊坂幸太郎
人生で大切なことは、すべて「書店」で買える。人生で大切なことは、すべて「書店」で買える。感想
記念すべき読書メーター「読んだ本」登録100冊目。とにかく千田琢哉さんの言うことがいちいち的を射ていて終始肯いていたように思う。本当に、「人生で大切なことは、すべて」ここに書いてあった。読書が好きではない人にこそ読んでもらいたい1冊。普段は小説ばかり読んでいるけれど、千田さんの格言集のような自己啓発本なのでスラスラ1日で読み終えられます。まさに読み終えたその日に後輩にオススメして貸してしまったくらい。ほかの千田さんの「20代のうちに〜」というある種のシリーズ本たちもすべて読み漁りたいと思った。
読了日:10月12日 著者:千田琢哉
何者何者感想
就活スタート直前の私にピッタリな題材。いや、もしかしたらもう同期たちは早くも就活をスタートさせているかもしれない。就活に対する負のイメージ(特に、就活に対して漠然と抱く怖いなと思う気持ち)がますます強くなった。受験も就活も団体戦。本当にそうだろうか?拓人や理香のような友達と協力だなんて、私にはできそうにない。人間不信になりそう。就活は体力的にも精神的にも疲労困憊するものだ、だけどその中で本当の自分に出会えるものなのかもしれない。就活がどういうものなのか、その輪郭がなんとなく掴めたような気がする。
読了日:10月14日 著者:朝井リョウ
ガール (講談社文庫)ガール (講談社文庫)感想
30代OLの短編集。今でこそ女性の社会進出が容認されつつあるけれど、この本が出版された頃はおそらく男尊女卑の考え方を持った人がまだ多かったんだと思う。そんな中で「ヒロくん」の旦那さんみたいな考え方を持った人って貴重だったと思うし、凄く素敵だなと思った。「マンション」も好き。出会うものには出会うべくして出会うんだなと思った。私も10年後はこういうことを思うようになるのかなと思うと、なんだか全く実感が湧かない。そんな日は永遠に来ないんじゃないかとさえ思えてくるのに、きっと10年なんてあっという間なんだろうな。
読了日:10月15日 著者:奥田英朗
仮面同窓会 (幻冬舎文庫)仮面同窓会 (幻冬舎文庫)感想
同窓会の七年前、希一・和康・八真人の「鉄の結束」の内容に驚くばかりか、そのさらに七年前、洋輔の次兄・雅之の死の真相にも驚かされた。雅之も希一もジョージも結局は誰かを支配下に置きたいという欲望だけに突き動かされている。ジョージは気が付いていないのだろうか、この結末が第2の真理を生み出そうとしている事を。この先の洋輔を思うと、悲しくて仕方がない。どこにも心の拠り所のない洋輔は、どのようにこれを乗り越え生きていくのだろうか。駅前で美郷に再会した時点で、いや、小学生の頃から結末は決まっていたのかもしれない。
読了日:10月17日 著者:雫井脩介
シューカツ! (文春文庫)シューカツ! (文春文庫)感想
やっぱり就活を意識し出したことで、このタイトルを目にしたら手に取らずにはいられなかったので、完璧タイトル買いです。石田衣良さんは大学生になってからは読んでなかったので久しぶり。7人のシューカツチーム、中でも千晴を中心として話が進んでいくけれど、やはりスイスイと上手くはいかない。就活を通して人生について、自分という人間について、深く深く考えていく姿は、きっとこの先の就活での自分の姿と重なっていくんだろうな。現段階でなんの準備もしていない自分を振り返り、今さらながら焦りが出てきました。千晴たちの次は私の番だ。
読了日:10月22日 著者:石田衣良
増補 日本語が亡びるとき: 英語の世紀の中で (ちくま文庫)増補 日本語が亡びるとき: 英語の世紀の中で (ちくま文庫)感想
大学のレポートのために読んだ。内容自体は面白く、まるで小説を読んでいるかのような感覚で読めるのに、忙しさに感けてこの1冊に1週間もかかった。電車やバスの中で読み始めると途端にウトウトしてしまってなかなか進まなかった。なんせレポートのためにやっつけ仕事のように読んでしまったので、もっとじっくり読み直したいと思う。
読了日:10月30日 著者:水村美苗
ランナー (幻冬舎文庫)ランナー (幻冬舎文庫)感想
あっという間に読み終わった。『ランナー』というタイトルの通り、長距離のランナーが主人公。だけど、ただのスポーツ小説ではない。美しく賢明な母。可愛らしく愛おしいとさえ思える妹。彼女たちを守るために陸上部を退部すると決めた碧李が、親友の久遠や先輩マネージャーの杏子、監督に支えられ、再び陸上部に舞い戻っていく。その決断をする場面も、戻ったあとの苦悩にも、碧李の達観した考え方が垣間見える。こんな高校生がいるだろうか。性格は全然違うのに、その才能からか三浦しをんさんの『風が強く吹いている』の走を思い出しました。
読了日:11月1日 著者:あさのあつこ
桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)感想
ずーっと気になっていたけど、話題になっているときに読むとミーハーっぽくて嫌だなと思って手を出せずにいた本。バレー部キャプテンの桐島くんが部活を辞めることやそれによる周囲の微妙な変化が彼の周囲の生徒たちによって語られる。前田くんの章で出てくる「上」「下」の表現に、ああ、中学生や高校生のときって「上」とか「下」とかあるよなあ…と思ったけれど、大学生になった今でもそういう雰囲気は依然としてある。かすみや菊池のように「上」のグループにいながらその壁を破ることのできる人って少ないけれど、だかたこそ素敵だと思えた。
読了日:11月2日 著者:朝井リョウ
スパイクス ランナー2 (幻冬舎文庫)スパイクス ランナー2 (幻冬舎文庫)感想
『ランナー』続編。この作品が連作だったなんてまるで知らなかったので、書店で見つけたときに即購入してしまった。この作品は、高校2年の春、約半年の退部を経て碧李が陸上部に舞い戻ってきたところから、5千メートルの復帰戦までを描いたもの。新キャラクター・三堂貢、その従兄弟で新聞部の坂田の登場によって碧李の心はかき乱されるかと思いきや、彼は自分の走りを取り戻す。貢もきっと賢いんだろうけど、碧李も聡い。そして貢よりも大人だと思う。碧李は母や妹や久遠や杏子に支えられて、ものすごく成長したように思う。3作目も読みます!
読了日:11月4日 著者:あさのあつこ
レーン ランナー3 (幻冬舎文庫)レーン ランナー3 (幻冬舎文庫)感想
『ランナー』シリーズ3作目。碧李と貢。どことなく似てるなと改めて思う。2作目では5月の五千メートルの記録会がメインだったけれど、今回はそういった試合はなく、碧李は「走りたいから、走る」。しかし1年前の秋の一万メートルの試合より前にはあった剥離していく感覚はもうなく、碧李は「勝つために」走っていた。そして再び貢とともに走る。試合でも練習でもなく、ただ、走る。2人は似ているようで、全く違う。走ることの意味を知る碧李と、競技として走ることを熟知している貢。最後に先にゴールを切るのはどちらなのか。続きが気になる。
読了日:11月6日 著者:あさのあつこ
8年 (集英社文庫)8年 (集英社文庫)感想
堂場瞬一さんに初挑戦。『8年』は彼のデビュー作ということなので、初読みにピッタリかなと思って読んでみました。この作品は、30歳もとうに過ぎた藤原が創設されたばかりのメジャーリーグチームの一員としてアメリカに渡ったところから始まる。彼が追うのは、ただ1人。彼より1つ年上のメジャーリーガーである。この設定から、満田拓也さんの漫画『MAJOR』の茂野吾郎とジョーギブソンを思い出した。この作品を通して、本気になれるものがあることの素晴らしさを感じた。堂場さんのほかの野球ものや陸上ものも読んでみたい!
読了日:11月13日 著者:堂場瞬一
風が強く吹いている (新潮文庫)風が強く吹いている (新潮文庫)感想
寒くなってきたので読みたくなって2年ぶりに再読。走が榊に向かっていった「俺はもう、絶対に終わらせたりしない」という言葉がかっこよかった。最後、ハイジがゴールを切る瞬間は何度読んでも本当に泣きそうになる。最初はまともに走れなかった竹青荘のメンバーがそれぞれに努力してそれぞれに成長を遂げて。たった10人で箱根を目指すという夢物語がついに完成するその瞬間を、涙なしには読めなかった。もしもう一度中学生か高校生に戻れるなら陸上長距離走を極めたいし、大学では陸上部のマネージャーがしたい。自分の目で箱根駅伝を見たい。
読了日:11月16日 著者:三浦しをん
チーム (実業之日本社文庫)チーム (実業之日本社文庫)感想
堂場瞬一さん2作目。予選会で敗れた大学の中から選抜されたメンバーの寄せ集めである学連選抜チーム。そこに選ばれた選手たちの複雑な気持ち。憧れの箱根駅伝には出たい。でも自分だけ出場してしまえば、箱根を目指して一緒に頑張ってきたチームメイトたちを裏切ってしまうことになるのではないか。そういうリアルな葛藤があることを読んで初めて知った。学連選抜チームのキャプテンを任された浦大地が、別の大学から集められたバラバラなチームをまとめる姿。臨時のチームとは言え、自分のためだけでなく、チームのために走る選手たち。感動です。
読了日:11月18日 著者:堂場瞬一
チームII (実業之日本社文庫)チームII (実業之日本社文庫)感想
堂場瞬一さん3冊目。『チーム』の続編。ですが、おそらく時系列的には『チーム』→『ヒート』→『チームⅡ』の順で読むべきだったのかもしれない…。とは言っても『ヒート』を読んでいなくとも『チームⅡ』自体は楽しめる!ただ『ヒート』を読む前からなんとなく話の流れ、終結部などの知識が入ってしまうのでそこだけが残念な部分になるかもしれないけれど。『チーム』に出てきた天才ランナー山城の30歳の物語。相変わらず浦はキャプテン気質で熱い男だし青木はマネージャー気質で気遣いが細やかだし。そうじゃないのに懐かしい気持ちになった。
読了日:11月24日 著者:堂場瞬一
時をかけるゆとり (文春文庫)時をかけるゆとり (文春文庫)感想
朝井リョウさんのエッセイ集。エッセイ集だと知らずに完全にタイトル買いだったけれど、ゆとり世代である私には共感できる部分もあったりなかったり。おバカなエピソードや朝井さん周辺の人への鋭いツッコミの数々に思わず笑ってしまった。個人的には『時をかけるゆとり』と東京→京都の自転車旅のスピード感がなんとなく重なっているような気がした。光原百合さんの解説には出版社側の解答が記されていて、私の考えは正解ではないと分かったのだけれど。しかし小学生から小説を書き始めたとは…。あれ?私は幼稚園生の頃から絵本を描いていたよ…。
読了日:11月25日 著者:朝井リョウ
おいしいコーヒーのいれ方 (1) キスまでの距離 (集英社文庫)おいしいコーヒーのいれ方 (1) キスまでの距離 (集英社文庫)感想
村山由佳さん初読み。『おいしいコーヒーのいれ方』ってなんだか良い響きだな、くらいの気持ちで購入。失礼極まりない話ですが、お名前すら聞いたことのない作家さんだったので正直ちょっと舐めてた部分もあったけれど、ものすごくやさしい気持ちになりました。何よりも驚いたのは、この作品が20年も前に書かれたということ。つい最近書かれたばかりのものだと思い込んでいたので、そんな年代・世代の違いを感じさせない作者の書きぶりに驚きました。それにしても勝利くんが健気で思わず応援したくなる。愛されるキャラになっていて良かった。
読了日:11月28日 著者:村山由佳
おいしいコーヒーのいれ方 (2) 僕らの夏 (集英社文庫)おいしいコーヒーのいれ方 (2) 僕らの夏 (集英社文庫)感想
おいしいコーヒーのいれ方』シリーズ2作目。あっという間に読み終わった。かれんはオクテすぎるし勝利くん(心の中ではかれんでもないくせに“ショーリ”と呼んでいるけれど)もグズすぎるということでなかなか気を揉んでしまうけれど、たまに飛び出す勝利の気障なセリフやかれんの照れるしぐさに微笑んで(にまにま、ニヤニヤ?して)しまいます。勝利は家事全般大の得意で彼女を大事にしていて全女子の理想的男子だと思うけれど、やはりマスターの魅力にはまだまだ追いつかないな、いつか追いついてほしいな、と今後の勝利の成長が楽しみです。
読了日:11月28日 著者:村山由佳
おいしいコーヒーのいれ方 (3) 彼女の朝 (集英社文庫)おいしいコーヒーのいれ方 (3) 彼女の朝 (集英社文庫)感想
おいしいコーヒーのいれ方』シリーズ3作目。花村母の帰国によってなかなか2人きりになれないことに気を揉む勝利がついにかれんを誘い出す。鴨川での2人の夜の場面では、なんだかホッとした。勝利がこの何ヶ月かでものすごく男前になったような気がする。「でも俺、お前の前で無理なんかしないことにした。ウソの自分を見せようなんてしないよ」男の子でも女の子でも、誰だって好きな人の前ではカッコつけたいはずなのに、勝利はそうしないことを決意して、大好きな人の目の前で誓った。そうそう出来ることじゃないと思う。がんばれ、勝利!
読了日:11月29日 著者:村山由佳
おいしいコーヒーのいれ方 (4) 雪の降る音 (集英社文庫)おいしいコーヒーのいれ方 (4) 雪の降る音 (集英社文庫)感想
寝言の「うそつき」には何かあるだろうと思っていたのでスキーのときの「うそつき」にぶち当たったときの私の心境と言えば、もう「うわああああああ!」でした。つまり言葉にすることさえ億劫になるほどの激情のような衝動のような強烈で爆発的な気持ち。でも、そのおかげで勝利はとっても大切なことに気付いた。「今、俺を好きだって言ってくれるお前を信じられないなら、その先の保証も何も、明日までだって一緒にいられっこないのに」彼はまたひとつ大きくなったと思う。そして私自身にも気付かせてくれてありがとうという気持ちでいっぱいです。
読了日:11月30日 著者:村山由佳
おいしいコーヒーのいれ方 (5) 緑の午後 (集英社文庫)おいしいコーヒーのいれ方 (5) 緑の午後 (集英社文庫)感想
おいしいコーヒーのいれ方』シリーズ5作目。かれんと仲直りしてめでたしめでたし。かと思いきや…。りつ子の気持ちを考えると苦しくなる。そして彼女の言い分が正し過ぎてまた苦しくなる。勝利もかれんもりつ子も、みんなそれぞれの壁を乗り越えないことには未来はないんだなー、そうやって人生は段階を踏んでいくように出来てるのかもしれないなーと思いました。個人的に、丈の子守唄がツボすぎてバスや電車の中にも関わらず危うく吹き出しそうになるのをやっとの思いで堪えた。たぶん口元は耐えきれずにニヤけてたとは思うけれど。(笑)
読了日:12月1日 著者:村山由佳
おいしいコーヒーのいれ方 (6) 遠い背中 (集英社文庫)おいしいコーヒーのいれ方 (6) 遠い背中 (集英社文庫)感想
おいしいコーヒーのいれ方』シリーズ6作目。正直、えっ!もう6作目!?という気持ちです。ここまで本当にあっという間だった。ついに花村の両親が帰国。それに伴って勝利は花村の家を出て実家にも戻らず一人暮らしをすると決意。彼は彼なりに様々なことを考えた上での決断なんだろうけど、女の私からすればやっぱり下心が一番の理由じゃないかと思ってしまう。この一人暮らしが吉と出るか凶と出るか…それは2人の、特に勝利の努力次第だと思う。続きが気になるところです。個人的には最後の付録、マスター目線のスピンオフ作品が好きでした。
読了日:12月2日 著者:村山由佳
おいしいコーヒーのいれ方 (7) 坂の途中 (集英社文庫)おいしいコーヒーのいれ方 (7) 坂の途中 (集英社文庫)感想
おいしいコーヒーのいれ方』シリーズ7作目。なんだか、かれんが以前より強く、逞しくなったなあと思う回でした。2人が衝突しそうになった時に勝利が仕切り直しにしようと提案したらかれんが「どうして?」と強く出たところ、芯があるなあと思った。勝利はやっぱり周囲から見ても落ち着いていて精神的に成熟してる感じなんだろうけど、内心はかれんが前を行くことにかなり焦っていて、追いかけるのに必死になっているところを見ると、なんだかんだ言ってもかれんの方が5年長く生きてるんだなあと感じた。5年の差は埋められないんだなあ…。
読了日:12月3日 著者:村山由佳
おいしいコーヒーのいれ方 (8) 優しい秘密 (集英社文庫)おいしいコーヒーのいれ方 (8) 優しい秘密 (集英社文庫)感想
おいしいコーヒーのいれ方』シリーズ8作目。今回は勝利にとってかなり苦しい展開。それにしてもマスターの懐の深さ、すごいなあ。勝利よ、コレが大人の余裕ってやつだよ、と心で語りかけているように感じた。それから後半は陸上部マネージャー・星野りつ子中心に移っていく。ストーカー行為にはびっくりしたし、ほかの方の感想を拝見すると勝利に泣きつく彼女にはほとほと呆れたり怒りを感じたりというのがあったけれど、たぶん、りつ子は人を好きになったことがないから、その気持ちをどうして良いのか分からないんじゃないかと思う。切ないね。
読了日:12月4日 著者:村山由佳
おいしいコーヒーのいれ方 (9) 聞きたい言葉 (集英社文庫)おいしいコーヒーのいれ方 (9) 聞きたい言葉 (集英社文庫)感想
おいしいコーヒーのいれ方』シリーズ9作目。両親に介護福祉士を目指すという夢と本当のことを告げるかれん。そして2人にとって2度目のクリスマス。前回は大喧嘩をした2人だったなあ、なんだか懐かしい。あれから1年が経って、2人にとっての問題はまだまだ多いけれど、2人ともなんだか少し大人になったし、人間的にも大きくなったように感じた。そして1作目では中学生だった丈も高校生になって考え方がしっかりしてきたなと微笑ましく思う。次の10作目ででひとまずは区切りがつくようなので、どう落とし前をつけるのか気になるところ。
読了日:12月5日 著者:村山由佳
おいしいコーヒーのいれ方 (10) 夢のあとさき (集英社文庫)おいしいコーヒーのいれ方 (10) 夢のあとさき (集英社文庫)感想
おいしいコーヒーのいれ方』シリーズ10作目。このシリーズを読み始めてわずか1週間でここまで読み終えてしまうほど本当にあっという間だった。前回までで「2人とも大人になったよなあ」なんて思っていたけれど、そんなものはとんでもない思い違いだったのかもしれない。情けなくても醜くても本音をぶつけ合うことだって時には必要で。特に勝利については、言いたいことも聞きたいこともいつも我慢していることが読者には丸分かりな分、爆発しそうになっても思いとどまる姿に、いつ爆発するかとヒヤヒヤした。この先もどうか、末永くお幸せに。
読了日:12月5日 著者:村山由佳
こころ (新潮文庫)こころ (新潮文庫)感想
大学の模擬授業で扱うことにしたので、復習の意味も込めて3部とも読み返しておこうと思い再読。これを読んだのはおそらく高校2年生の頃。当時の現代文担当の先生には失礼極まりなく大変申し訳ない話なのだけれど、授業がどんなものだったのか全く覚えていない。ただ、これは三部構成になっていて、教科書に載っている部分は第3部「先生と遺書」のたった一部でしかないということだけが印象に残っており、ほかの部分も読んでみたいと思って『こころ』を買ったのは記憶している。キーポイント:何故Kは、先生は、自殺したのか。現実と理想の違い。
読了日:12月9日 著者:夏目漱石
吾輩も猫である (新潮文庫)吾輩も猫である (新潮文庫)感想
夏目漱石没後100周年、生誕150周年ということで『吾輩は猫である』にちなんだ作品を読んでみようと思い手に取った。8人の作家によるネコ目線の短編集。正直なところ私自身はイヌ派なので、ネコ目線で語られるイヌ族の愚かさには納得が行かない部分も多々あった。しかし、ネコ好きな人には肯定的に読めるものであると思う。ネコが実際にどんな風に考えているかは分からないけれど、どの作家の描くネコも、人間がネコを飼ってあげているのではなく、ネコが人間に飼われてあげている(人間と一緒にいてあげている?)考えで、ツンデレでした。
読了日:12月12日 著者:赤川次郎,新井素子,石田衣良,荻原浩,恩田陸,原田マハ,村山由佳,山内マリコ
「こころ」で読みなおす漱石文学 大人になれなかった先生 (朝日文庫)「こころ」で読みなおす漱石文学 大人になれなかった先生 (朝日文庫)感想
高校時代には考えもしなかった読み方が綴られていて「なるほど」の連発だった。たしかに漱石のミスなのか、はたまた解釈の幅を広げるためなのか、『こころ』にはさまざまな矛盾があった。しかし私はそれにも気付くことなく読んでいたので、また細かく読み直してみようと思った。Kが自殺した理由なんかは高校の授業でも扱われるけれど、先生の自殺や「先生と私」「両親と私」の中の「私」が先生からの遺書を読んだ後どのような行動に出たのかについては考えたこともなかったので、とても興味深かった。考察していくことの楽しさが詰まった1冊です。
読了日:12月14日 著者:石原千秋
箱根駅伝 ナイン・ストーリーズ (文春文庫)箱根駅伝 ナイン・ストーリーズ (文春文庫)感想
購入当初は完全なるフィクションだと思っていたので、途中から「あら?これ実話かもしれない…?」と疑いながら読んだ。読み終えて初めてノンフィクションだと気が付くくらいだから、やはり箱根駅伝はそれだけドラマ性があるということなのだと思います。著されたのもつい最近の話なので、ぜひとも1月2日の箱根駅伝が始まる前に読んでほしい一冊。選手もそうだけど、監督の名前に聞き覚えがあったり、「山の神」の名前が出てきたりすることを考えると、これを読んでいれば、箱根駅伝がより楽しいものとして見られるのでは、と思った。
読了日:12月19日 著者:生島淳
ヒート (実業之日本社文庫)ヒート (実業之日本社文庫)感想
『チーム』続編。間違えて『チームⅡ』を先に読んでしまっていたので、なんとなく話の最終地点は予想がついていたけれど、というか、だからこそ、まだかまだかとジリジリしながら読んだ。山城の人間臭さがめいっぱい感じられる一冊であり、浦大地への愛おしさ(?)が募る一冊でもありました。あの山城を動かすほどの魅力(なのか性格なのか)を持つ浦、なんだかとても好きです。友達にはなれそうにないけれど、自分を貫き通す山城もなぜだか憎めない。それはひとえに山城が完璧じゃないからなんだろう。浦にだけは動かされてしまうからなんだろう。
読了日:12月25日 著者:堂場瞬一
世界から猫が消えたなら世界から猫が消えたなら感想
てっきりこの題名から世界から猫が消えたらどうなるか、猫のいない世界が舞台だと思っていたので、想像していたのと全く異なる話の展開で、とても驚きました。なるほど、映画になりそうな感動作だなと思いながら読んだ。面白くないわけではないが、狙っている感が拭えなくて、いまいち入り込めなかった。しかし、主人公が大切なことに気づいていく過程の中から、読者も生きていく上で大切なことに気付かされるという意味では、模範的な作品だと思う。ファンタジー要素もあるので、たとえば中学生であっても退屈せずに読めるような作品でした。
読了日:12月27日 著者:川村元気

読書メーター